急がされても、その場で決めなくて大丈夫。保留の文例と持ち帰りメモ、相談先を整理。

調査に来た業者から「今日決めていただければ安くします」「このままだと大変なことになります」と言われると、その場で返事をしなければいけない気持ちになるものです。調べてもらった手前、「少し考えたい」の一言が出てこないこともあります。
この記事では、その場で決めなくてよい理由を、公的機関の助言と法律の一般的なルールから確かめます。そのうえで、保留やお断りを伝える文例、持ち帰って確かめる項目のメモ、困ったときの相談先を順にまとめます。国民生活センターも、不安をあおったり契約を急がせたりして、ほかの業者と比べる機会を奪うような勧誘をする業者とは契約しないよう呼びかけています。
目の前の業者が良いか悪いかや、ご自身の契約に法律がどう当てはまるかは、この記事では判断しません。急がされたときに、いったん持ち帰るための言葉と手順を用意することが目的です。すでに契約を済ませた方は、「契約したあとで不安になったら。クーリング・オフと相談の順番」を先にご覧ください。
- その場で決めなくてよい理由を知る
- 保留を伝える言い方を用意する
- 見積と説明を持ち帰って確かめる
- 断ったあと・困ったときの相談先
- 契約を迫られたときのよくある質問
01その場で決めなくてよい理由を知る
国民生活センターは2024年4月の注意喚起で、害虫・害獣駆除サービスの相談事例にみられる問題点の一つに、「このままだとひどいことになる」などと不安をあおり、「今なら安くなる」などと契約を急がせる勧誘を挙げました。同センターは、こうした勧誘は冷静な判断力やよく考える機会を奪うおそれがあるとし、本当に緊急を要するものなのかを冷静に考え、複数社から見積もりを取る前提で業者に連絡するよう助言しています。
同センターは2018年12月の注意喚起(水漏れ修理や害虫の駆除などが対象。相談事例にネズミやコウモリの駆除を含みます)でも、契約を急がされたときは、いったん冷静になって料金やサービス内容を確認し、納得できなければその場で契約しないよう呼びかけています。2025年3月と2026年7月の注意喚起は害虫の事例ですが、慌てずに考え、複数社を比べるという助言は共通しています。
法律にも、勧誘についての一般的なルールがあります。特定商取引法は訪問販売について、契約しない意思を示した人への勧誘を禁じています。消費者庁の説明では、その訪問時にそのまま勧誘を続けることも、その後改めて勧誘することも禁止されます。同庁の運用指針では、この意思の表示に当たるのは「いりません」「お断りします」などとはっきり伝えた場合で、「今は忙しいので後日にしてほしい」とだけ告げた場合は、日を改めて行う勧誘については当たらないとされています。
勧誘の際に事実と違うことを告げる行為や、契約させるために相手を威迫して困惑させる行為も、訪問販売では禁じられています。ただし、自分から自宅での契約を求めた場合など、規定の一部が適用されない場合もあります。国民生活センターは2024年の報告書で、見積もりを取るつもりで来てもらった業者とその場で契約した場合などは、訪問販売に当たる可能性があるとしていますが、ご自身の場合がどうかは、この記事では判断しません。「持ち帰って考えます」と伝えることは失礼ではなく、公的機関の助言に沿った進め方です。
確認リスト
- 急がされても、納得できなければその場で契約しない(国民生活センターの助言)
- 比べる機会をくれない業者とは契約しない、という助言がある
- 訪問販売では、契約しないとはっきり伝えた人への勧誘が禁じられている
- 自分の場合に当てはまるかは、消費生活センター等で確かめる
02保留を伝える言い方を用意する
保留を伝えるときに、理由を細かく説明する必要はありません。「今日は決めないこと」「書面をもらうこと」「返事はこちらからすること」の3点を、短く伝えれば足ります。説明が正しいかどうかを、その場で言い合う必要もありません。言葉に詰まったら、同じ文を繰り返してください。
対面では、次のように伝えます。「調査をありがとうございました。今日は決めません。見積書と説明の内容を書面でいただき、検討してから、こちらから連絡します。」値引きや期限を示されたときは、「その条件も書面でいただけますか。持ち帰って確かめます」と返します。
あとから電話がかかってきたときは、「まだ検討中です。決まりましたら、こちらから連絡します」で構いません。お願いしないと決めたら、保留の言葉ではなく、「今回は契約しません。今後のご連絡は不要です」とはっきり伝えます。国民生活センターも2018年の注意喚起で、料金やサービス内容に納得できない場合は、きっぱりと契約を断るよう助言しています。
メールやメッセージで断る場合の文例です。「〇月〇日に調査に来ていただいた〇〇です。検討の結果、今回は契約を見送ります。今後の訪問やお電話は不要です。」送った文面は、日時が分かる形で残しておきます。
確認リスト
- 対面:「今日は決めません。書面をいただき、こちらから連絡します」
- 値引きや期限を示されたら:「その条件も書面でいただけますか」
- 電話:「まだ検討中です。こちらから連絡します」
- お断り:「今回は契約しません。今後のご連絡は不要です」
- 伝えた日時・相手・言葉をメモに残す
03見積と説明を持ち帰って確かめる
保留を伝えたら、判断の材料を持ち帰ります。見積書や説明資料は書面かメールで受け取り、言われたことは、その日のうちに下のメモへ書き留めてください。「言われたこと」と「自分で見たこと」を分けて書くと、あとで見直しやすくなります。
国民生活センターは2024年の報告書で、ハチ駆除の事例ですが、契約書のサービス内容が「一式」とだけ書かれていた相談を挙げ、書面に不備があると思われる事例も見られるとしています。作業の範囲と場所、金額に含まれるもの、追加費用が出る条件、保証の条件を、書面で確かめられるかを見てください。
「このままだと危険」「今日中の作業が必要」と言われた場合は、どこの何を見てそう判断したのかを、写真や書面で示してもらえるか尋ねます。示されなければ「未確認」と書いておきます。比べ方は「害獣駆除の見積を、同じ条件で比べる」、業者について確かめる点は「業者選びで確認したい、6つのポイント」、電話での伝え方は「電話で相談するときに伝えること。1分で話せるメモ」にまとめています。
持ち帰りメモ(業者が帰ったあとに書きます。空欄は「未確認」のまま残します)
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 訪問・調査の日時と、対応した人の名前 | 未確認 |
| 事業者の名称・所在地・連絡先(名刺や書面で確認) | 未確認 |
| 言われたこと(「今日なら」「このままだと」などは言葉のまま) | 未確認 |
| 自分で見たこと(見せてもらった場所・写真) | 未確認 |
| 急ぐ理由の根拠(写真や書面で示されたか) | 未確認 |
| 見積書の有無と、作業の範囲・場所 | 未確認 |
| 金額に含まれるもの/含まれないもの | 未確認 |
| 追加費用が出る条件 | 未確認 |
| 保証の条件(期間・対象・対象外) | 未確認 |
| 値引きの条件と期限(書面にあるか) | 未確認 |
| 調査・見積・キャンセルに費用がかかるかの説明 | 未確認 |
| 伝えた言葉(保留・お断り)と日時 | 未確認 |
| 返事をする予定日と、返事の方法 | 未確認 |
確認リスト
- 見積書と説明資料を、書面かメールで受け取ったか
- 急ぐ理由の根拠を、写真や書面で確かめたか
- 値引きの条件と期限が、書面に書かれているか
- 分からない欄を「未確認」のまま残したか
04断ったあと・困ったときの相談先
保留や断りを伝えても勧誘が続くときや、請求に納得できないときは、一人で抱えずに相談先を使ってください。国民生活センターは、おかしいと思ったら、すぐに消費生活センター等に相談するよう呼びかけています。消費者ホットライン188は、身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内する全国共通の番号です。
作業のあとで想定より高い請求を受けたときについて、国民生活センターは、害虫駆除の事例ですが、納得できない場合は、後日納得した金額で支払う意思があることを示しつつ、その場での支払いは避けるよう助言しています。
帰ってほしいと伝えても帰ってもらえないなど、警察に相談したいときの窓口も確認しておきます。警察庁は、事件や事故に関する緊急通報は110番へ、生活の安全に関わる悩みごと・困りごとなど緊急でない相談は、最寄りの警察署か「#9110」番を利用するよう案内しています。政府広報オンラインは、110番を、警察官にすぐ駆けつけてほしいような緊急の事件・事故などを受け付ける番号と説明しています。#9110は、犯罪に当たるか分からないけれど悪質商法などを警察に相談したいときに使える全国共通の番号で、受付は平日の日中が基本です(時間は都道府県警察本部ごとに異なります)。
すでに契約書に署名した方や、作業のあとで請求を受けた方は、新しい業者を探す前に「契約したあとで不安になったら。クーリング・オフと相談の順番」を確認してください。国民生活センターは、クーリング・オフ等ができる場合があるとしています。
確認リスト
- 契約や請求で困ったら:消費者ホットライン188
- 緊急の事件・事故:110番
- 緊急でない警察への相談:最寄りの警察署か「#9110」
- 相談の前に:メモ・書面・やり取りの記録をそろえる
- 契約を済ませた場合:クーリング・オフの記事を先に確認する
05契約を迫られたときのよくある質問
断ってよいのか、値引きや「危険」という説明の受け止め方、断ったあとの連絡について答えます。
- 調査に来てもらったのに、契約を断ってもよいですか。
- まだ契約していないのであれば、断って構いません。国民生活センターは、料金やサービス内容に納得できない場合は、きっぱりと契約を断るよう助言しています。同センターは、見積もりに来てもらうときは、見積もりやキャンセルに料金がかかるかを、あらかじめ事業者に確認するようにも呼びかけています。調査や見積の費用を求められて納得できないときは、消費生活センター等に相談してください。
- 「今日決めれば安くなる」と言われました。今日決めたほうがよいのでしょうか。
- その値引きが本当に今日だけかどうかは、この記事では分かりません。国民生活センターは、「今なら安くなる」などと契約を急がせる勧誘が相談事例に見られるとして、比べる機会を奪うような勧誘をする業者とは契約しないよう助言しています。値引きの条件と期限を書面でもらい、持ち帰って比べてください。
- 「このままだと危険です」と言われて不安です。どう受け止めればよいですか。
- 不安になるのは自然なことです。その説明が正しいかどうかは、この記事では判断できません。国民生活センターは、害虫や害獣が突然出てきても、できる限り慌てずに、本当に緊急を要するものなのかを冷静に考えるよう助言しています。根拠を写真や書面で示してもらい、ほかの業者にも同じ場所を見てもらうと、説明を比べられます。
- 断ったのに、また訪問や電話があります。どうすればよいですか。
- 特定商取引法は、訪問販売について、契約しない意思を示した人への勧誘を禁じています。このルールがご自身の場合に当てはまるかは、この記事では判断しません。日時・相手・言われたことを記録し、「契約しません。今後の連絡は不要です」と同じ言葉で伝えたうえで、消費生活センター等に相談してください。警察に相談したいときの窓口は、第4節にまとめています。
KEEP READING次に読みたいガイド
参考にした公的情報(一次資料)
- 国民生活センター「ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意」
- 国民生活センター「ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意(報告書本文)」
- 国民生活センター「水漏れ修理、解錠など「暮らしのレスキューサービス」でのトラブルにご注意」
- 国民生活センター「水漏れ修理、解錠など「暮らしのレスキューサービス」でのトラブルにご注意(報告書本文)」
- 国民生活センター「作業後に高額請求する害虫駆除トラブル」
- 国民生活センター「見守り新鮮情報 第546号 ネットの価格と全然違う!?害虫駆除サービスのトラブルに注意」
- 消費者庁「訪問販売|特定商取引法ガイド」
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」
- 消費者庁「特定商取引に関する法律第3条の2等の運用指針―再勧誘禁止規定に関する指針―」
- 消費者庁「訪問販売等の適用除外に関するQ&A」
- 消費者庁「消費者ホットライン(188)」
- 警察庁「ご意見、各種相談・情報提供等」
- 政府広報オンライン「警察に対する相談は警察相談専用電話 「#9110」番へ」
確認日 2026-10-01。自治体の事業や制度は変わることがあるため、依頼や手続きの前に各ページの最新の内容をご確認ください。
