管理会社や大家への連絡を、メモと文例で整理。手配と費用の扱いは先に確認。

借りている部屋で天井の上から物音が続いたり、庭やベランダで動物を見かけたりすると、「自分で業者を呼んでいいのか」「管理会社や大家さんに何と言えばいいのか」「費用は誰が払うのか」と迷うものです。駆除業者の広告はすぐ目に入りますが、賃貸では、業者に連絡する前に確かめておきたいことがあります。
この記事では、窓口の確認から作業前の記録までを順にまとめ、第2節に「連絡メモ」と文例を載せました。国民生活センターも、害虫駆除の事例ですが、賃貸住宅なら事業者へ依頼する前に管理会社や大家等に相談するのも一法としています。
費用を大家と入居者のどちらが負担するかは、一律に決めません。契約の内容、原因、建物の管理の状況で扱いが変わるからです。民法などは一般論として紹介し、ご自身の契約でどうなるかの判断はしません。目指すのは、伝えたこと・決まったこと・まだ決まっていないことを記録に残すことです。
- 物件の相談窓口を探す
- 音や目撃を短く伝える
- 誰が手配するか確認する
- 見積と作業前の確認を残す
- 賃貸で害獣に気づいたときのよくある質問
01物件の相談窓口を探す
最初に探すのは、修繕や不具合を受け付ける窓口です。国土交通省の賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)は、契約書の最初のページ(頭書)に貸主と管理業者の欄があり、貸主と建物の所有者が異なれば所有者の欄も書く様式です。ただし標準契約書はひな形なので、ご自身の契約書が同じ形とは限りません。契約書や重要事項説明書、入居時の案内を見直してください。
東京都のガイドラインによると、宅地建物取引業法の重要事項説明では、管理を委託している物件は委託先が修繕の連絡先として説明されますが、貸主が直接管理している場合は説明義務がありません。戸建ての賃貸など、大家さんと直接やり取りする契約もあるので、連絡先は書面で確かめておきます。
分譲マンションの一室を借りている場合は、建物の管理側も関わることがあります。区分所有法では共用部分の管理は原則として区分所有者の集会の決議で決め、国のマンション標準管理規約(ひな形)では管理組合がその管理を行い、業務を管理業者などに委託できるとしています。天井裏や外壁の内側が共用部分に当たるかは、建物や規約で違います。自分で判断せず、部屋の窓口に「共用部分が関わるか」「建物の管理側へは誰が伝えるか」を尋ねてください。
確認リスト
- 契約書・重要事項説明書・入居時の案内で、窓口の連絡先を確認したか
- 貸主と建物の所有者が別の場合、どちらに連絡するか
- 受付方法と受付時間、夜間・休日の連絡先があるか
- 分譲マンションの一室なら、建物の管理側へ誰が伝えるかを貸主側に尋ねたか
- 窓口が不明なら、仲介した不動産会社や、更新・家賃の案内を送ってくる会社に尋ねたか
02音や目撃を短く伝える

窓口が分かったら、状況を短く伝えます。民法第615条は、借りている物が修繕を要するときは、借主は遅滞なく貸主に通知しなければならない(貸主が既に知っているときを除く)と定めています。天井裏の物音がこれに当たるかは条文だけでは決まりませんが、東京都のガイドラインは、時間が経つと原因の判断が難しくなるため、修繕が必要になったらまず貸主や管理会社などに連絡して相談するよう案内しています。
伝える内容は下の「連絡メモ」で足ります。見たことと音だけのことを分け、姿を見ていなければ「種類は不明」と書きます。推測した種類を前提にすると、手配や調査の範囲がずれることがあります。確かめるために天井裏をのぞいたり、動物やふんに触れたりする必要はありません。板橋区も、ハクビシンの案内で、見かけても触らないよう呼びかけています(2026年6月更新のページ)。写真は室内から撮れる範囲で十分です。音の整理は「屋根裏の物音。相談前に整理したいこと」にまとめています。
電話でも構いませんが、国土交通省の標準契約書の解説コメントは、紛争防止の観点から、修繕が必要である旨の通知は書面や電子メールなどが望ましいとしています。夜間や休日で連絡できないときは、メールなどで受け付けていれば先に送り、つながるまで連絡メモに音の時間や場所を書き足しておきます。
メールなら、次のくらいの短さで十分です。「〇〇(物件名)〇〇号室の〇〇です。〇月〇日ごろから、〇〇(部屋)の天井の上で〇〇(時間帯)に物音がします。動物の姿は見ていません(見た場合は日時と場所)。今は〇〇(困っていること)です。業者の手配をどなたがするか、費用の扱い、立ち会いの要否を教えていただけますか。ご返事は〇〇(電話・メール)でいただけると助かります。」
連絡メモ(連絡の前に上から書き出し、回答をもらったら右の欄に書き足します。分からない欄は「未確認」のまま残します)
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 物件名と部屋番号 | 未確認 |
| 連絡する窓口(管理会社・大家)と連絡方法 | 未確認 |
| 気づいた日時と場所(部屋・天井か壁か) | 未確認 |
| 見たこと/音だけか(種類が分からなければ「不明」) | 未確認 |
| 困っていること(眠れない・におい・しみなど) | 未確認 |
| 確認したいこと:業者の手配は誰がするか(窓口の回答) | 未確認 |
| 確認したいこと:費用の扱い(窓口の回答) | 未確認 |
| 確認したいこと:立ち会いの要否と日程(窓口の回答) | 未確認 |
| 連絡した日時と相手(電話・メールの別) | 未確認 |
| 次に連絡する予定(いつ・誰に) | 未確認 |
確認リスト
- 連絡メモの空欄を推測で埋めず、「未確認」のまま残したか
- 返事の方法(電話・メール)と、返事の目安の時期を聞いたか
- 電話で伝えた場合も、日時・相手・内容を残したか
- 夜間・休日なら、受け付けている方法で先に送ったか
03誰が手配するか確認する

状況を伝えたら、業者を誰が手配するかを確認します。管理側が手配するか、入居者に任されるかなど、進め方は物件によって違うことがあります。無断で業者を呼ぶ前に確認したいのは、建物が貸主のもので、駆除のあとに侵入口をふさぐなど、建物に手を加える作業が含まれることもあるからです。依頼先が決まっている物件もあります。法務省のパンフレットも、修繕の場面について、賃借物はあくまで賃貸人のものなので賃借人が勝手に手を加えることはできないという前提を示しています。
民法には、貸主は使用・収益に必要な修繕をする義務を負う(借主の責めに帰すべき事由による場合を除く)という規定(第606条)や、修繕が必要だと通知した(または貸主が知った)のに相当の期間内に修繕されないときと、急迫の事情があるときは借主が修繕できるという規定(第607条の2)があります。ただし、害獣の侵入や駆除が「修繕」に当たるかは条文に書かれていません。国土交通省の事業として作られた「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集」は、「相当の期間」「急迫の事情」の中身は具体化されていないとして、貸主に通知して相談することが重要としています。また、第607条の2は契約で異なる定めもできるとしています。
費用も一律には決まりません。東京都のガイドラインは、修繕の要否は家賃の額や構造、築年数、環境などを総合的に見てケースバイケースで判断されると説明し、電球やパッキンの取替えのような小規模な修繕を借主の負担とする特約も定められるとしています。害獣への対応がこうした特約に当たるかは書かれていないため、決めつけずに窓口へ確認します。
自治体の事業も、申し込めるのが所有者や管理者のことがあります。アライグマ・ハクビシンの事業では、板橋区は被害のある建造物の所有者または管理者からの依頼に限っています(2026年6月更新のページ)。町田市は、申込者が所有しているか所有者の承諾を得ていることを条件とし、賃借人はまず所有者に相談するよう案内しています(2026年4月更新のページ)。入居者が使いたい場合は、まず物件の窓口に、申し込みや承諾をお願いできるかを尋ねます。条件は自治体ごとに違うため、お住まいの自治体のページで確認してください(探し方は「お住まいの地域から、相談先を確認する」)。
確認リスト
- 手配するのは管理会社・大家・入居者の誰か
- 入居者が手配する場合、業者の指定や報告の決まりがあるか
- 費用の扱い(修繕の条項・特約を含む)を作業前に確認したか
- 自治体の事業は、所有者側に申し込みや承諾を頼めるか
04見積と作業前の確認を残す
手配の分担が決まったら、見積や作業の前に、決まったことを記録に残します。電話で決まったことは「〇月〇日に〇〇さんと、手配は〇〇、費用は〇〇と確認しました」とメールで送り返すと、認識のずれに早く気づけます。第3節の事例集は、トラブルが起きたと感じたときには、契約書や重要事項説明書のほか、領収書や写真、貸主・管理会社とのやり取りが分かる書類や録音などを集めるとよいとしています。
管理側が手配する場合は、いつ誰が来るか、室内に入るか、立ち会いの要否、結果の知らせ方を確認します。自分で手配するよう言われた場合は、見積を取る前に、費用の扱いと、見積を窓口に見せる必要があるかを確かめます。見積の比べ方は「害獣駆除の見積を、同じ条件で比べる」にまとめています。窓口の了承を得て自分で手配すると決まり、費用の扱い、業者の指定がないこと、共用部分が関わるかを確認できた方は、当サイトの比較ページ(広告を含みます)で地域と条件を確認できます。確認がまだなら、先に第2節の連絡メモで窓口に尋ねてください。
立て替えた費用を後で精算できるかも、支払いの前に窓口に確認し、回答を記録に残してください。民法第608条には必要費の償還の規定がありますが、害獣の駆除費用がこれに当たるかは条文からは決まらず、この記事でも判断しません。
確認リスト
- 決めたこと(手配・費用・立ち会い)を、メールなどで確認し返したか
- 自分で手配する場合、見積を窓口に見せる必要があるか
- 見積の作業範囲・追加費用・保証を、着手前に窓口と共有したか
- 見積書・契約書・領収書・作業報告書と、写真・やり取りを一か所にまとめたか
05賃貸で害獣に気づいたときのよくある質問
賃貸で迷いやすい点を、分かる範囲でまとめます。
- 管理会社に連絡せず、自分で業者を呼んでもよいですか。
- 一律には答えられません。第3節で紹介したように、民法には借主が自分で修繕できる場合の規定がありますが、害獣への対応がこれに当たるかは条文からは決まりません。国民生活センターは、害虫駆除の事例ですが、明け方で大家に連絡しないまま検索で見つけた業者を呼び、作業後に高額な料金を請求された相談を紹介しています。まずは窓口に連絡してください。夜間や休日でつながらないときも、同センターが呼びかけるように、急いで駆除する必要が本当にあるかをいったん落ち着いて考え、連絡メモを整えておく方法があります。
- 費用は大家と入居者のどちらが負担しますか。
- 一律には決まりません。害獣の侵入や駆除が民法の「修繕」に当たるかは条文に書かれておらず、契約の修繕の条項や特約、原因、建物の管理の状況でも変わります。作業の前に窓口へ確認し、回答を記録に残してください。
- マンションの天井裏や外壁が関わる場合は、誰に相談しますか。
- まず部屋の貸主や管理会社に連絡し、共用部分が関わるかを確認してもらうと進めやすいでしょう。東京都の冊子は、ネズミの例ですが、集合住宅でねずみが発生したときは、分譲なら管理組合、賃貸なら家主が主体となって建物全体の被害状況を調べるよう案内しています。
- 大家や管理会社と話がまとまらないときや、業者の請求に納得できないときは、どこに相談できますか。
- 国土交通省は、民間賃貸住宅の相談窓口として国民生活センター(全国の消費生活センター一覧)などを案内しています。消費者ホットライン188では、身近な消費生活センター等を案内してもらえます(相談は無料、通話料は自己負担)。国民生活センターは、害虫駆除の事例ですが、料金に納得できない場合はその場での支払いを避けるよう呼びかけています。内容によっては別の相談先を案内されることもあります。連絡メモとやり取りの記録があると、経緯を説明しやすくなります。
KEEP READING次に読みたいガイド
参考にした公的情報(一次資料)
- 国民生活センター「作業後に高額請求する害虫駆除トラブル」
- 国土交通省「賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版・連帯保証人型」
- 国土交通省「賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版・家賃債務保証業者型」
- 国土交通省「『賃貸住宅標準契約書』について」
- 東京都住宅政策本部「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン(第4版)」
- e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」
- 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」
- e-Gov法令検索「民法」
- 板橋区「ハクビシン(外来生物)の被害について」
- 法務省「賃貸借契約に関するルールの見直し」
- 賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(再改訂版)」(国土交通省の事業として作成)
- 町田市「アライグマ・ハクビシン防除事業」
- 東京都保健医療局「都民のためのねずみ防除読本」
- 国土交通省「民間賃貸住宅」
- 消費者庁「消費者ホットライン(188)」
確認日 2026-09-28。自治体の事業や各社の条件は変わることがあるため、依頼前に各ページの最新の内容をご確認ください。
