保険証券と約款の見る場所、保険会社に聞くこと、勧誘への注意を順に整理。

天井裏の断熱材が荒らされていた。配線がかじられていると言われた。修理や駆除の見積を前にして、火災保険が使えないだろうかと考えることがあります。調査に来た業者から「保険で直せますよ」と言われ、本当かどうか確かめたい方もいるでしょう。
この記事では、保険証券と約款のどこを見るか、補償の対象と対象外がどう決まるか、保険会社や代理店に何を聞くかを順に整理します。あわせて、「保険金が使える」という勧誘について、日本損害保険協会と国民生活センターが出している注意喚起を確認します。
害獣の被害に火災保険が使えるかどうかは、当サイトでは判断しません。補償の可否は、契約ごとの約款で決まるためです。ここでお伝えするのは確認の順番までで、ご自身の契約については保険会社に確認してください。金額の目安も扱いません。共済に加入している方は、加入先の共済に確認してください(確認した資料は損害保険会社のものです)。
- 保険証券と約款を手元に用意する
- 補償の対象と対象外は、約款で決まる
- 保険会社・代理店に聞くこと
- 「保険で直せる」という勧誘に注意する
- 火災保険と害獣被害でよくある質問
01保険証券と約款を手元に用意する
最初に、契約の書類を手元に集めます。日本損害保険協会の損害保険Q&Aによると、損害保険の契約では、重要事項説明書、約款、保険証券などの書類が使われます。契約を自動で更新する設定にしている場合は、新しい保険証券ではなく保険契約継続証が届きます。
保険証券には、保険の対象や保険金額などが書かれています。約款は、保険会社が契約の内容をあらかじめ定めたもので、標準的な内容にあたる普通保険約款と、それを修正・変更する特約で構成されるのが通例です。保険金を支払う場合と支払わない場合は、この約款に定められています。
見る場所は三つです。保険証券では、保険の対象が建物か家財か、どの補償と特約を付けているか。約款では、「保険金を支払わない場合」の条項。そして契約の始期日です。今回確認した保険会社2社は公式サイトで約款を公開しており、契約の始期日ごとに版が分かれていました。サイトで読むときは、ご自身の契約の始期日に合う版を開いてください。
保険証券が見当たらない場合も、確認はできます。同Q&Aは、紛失した場合でも、契約者の氏名・住所・生年月日などを保険会社へ申し出て所定の手続きを取れば、保険金の支払いを受けることができるとしています。賃貸住宅では、建物の保険は家主が、家財の保険は入居者が契約するとされています。賃貸の方は、先に「賃貸で気づいたら。まず連絡する前に」をご覧ください。
確認リスト
- 保険証券(または保険契約継続証)を出した
- 保険の対象(建物・家財)と、補償・特約を確かめた
- 約款の「保険金を支払わない場合」の条項を開いた
- 契約の始期日に合う版の約款を見た
- 見当たらない書類は「未確認」とメモした
02補償の対象と対象外は、約款で決まる
火災保険で何が補償されるかは、契約ごとに違います。日本損害保険協会の損害保険Q&Aは、火災保険の種類によって補償される範囲は異なり、保険会社によって補償内容も異なるので、詳細は保険会社または代理店に確認する必要があるとしています。同じ「火災保険」でも、契約を見ないうちは、対象になるともならないとも言えません。
同Q&Aは、火災保険で保険金が支払われない主な事由の一つとして、自然の消耗、劣化、性質による変色、さび、かび、腐敗、ひび割れなどによって生じた損害を挙げています。
公開されている約款には、ねずみ食い・虫食いなどによる損害を補償の対象外とする記載の例があります。今回確認した損害保険会社2社の住宅向け火災保険の約款は、どちらも、保険金を支払わない場合の一つに「ねずみ食い、虫食い等」にあたる項目を挙げていました。ただし、どちらの条項にも対象外とする範囲を限る書き方や注記があり、その内容は会社ごとに違います。すべての契約に同じ記載があるとも言えません。
この記載がどこまでの損害を指すのか、ネズミ以外の動物による被害がどう扱われるのかは、当サイトでは判断しません。駆除や清掃、侵入口をふさぐ工事の費用が補償の対象になるかどうかも、公的な資料では確認できていません。いずれも、約款の該当する条項を開いたうえで、保険会社に確認してください。
確認リスト
- 補償の範囲は、保険の種類と契約内容によって異なる
- 保険金を支払わない場合は、約款に書かれている
- 「ねずみ食い、虫食い等」を対象外とする記載の例がある(確認した2社の約款。範囲を限る注記つき)
- 自分の契約がどうかは、約款の条項を見て保険会社に確認する
03保険会社・代理店に聞くこと
書類を見ても分からないことは、契約している保険会社か代理店に直接聞きます。日本損害保険協会は、「保険が使える」と勧誘された場合について、住宅の修理を業者と契約する前に、契約している損害保険会社または代理店へ相談するよう呼びかけています。連絡先は、保険証券などの契約書類で確かめます。同協会のサイトには、損害保険会社ごとの受付窓口の一覧もあります。
損害保険Q&Aによると、事故の連絡を受けた保険会社は契約内容を確認し、補償される内容や、補償されない場合はその理由、請求に必要な書類を説明します。必要な書類の例に、修理見積書や損害の状況が分かる写真があります。写真は無理に撮らず、離れた場所から撮れたものがあれば、まずはそれで構いません。必要な記録は保険会社に確認します。
伝えるときは、見たことと推測を分けます。「天井裏の断熱材が荒らされていると業者に言われた。動物の種類は分かっていない」のように、分からないことはそのまま伝えて構いません。業者から「保険で直せる」と言われた場合は、それも伝えます。回答は、確認した日と相手の名前と一緒に、下の表へ書き込んでください。
保険会社の説明に納得できないときの窓口もあります。日本損害保険協会の「そんぽADRセンター」は、損害保険に関する相談に対応し、損害保険会社とのトラブルが解決しない場合の苦情の受付や、紛争解決の支援を行っています。対象は同協会と手続きの契約を結んでいる保険会社で、代理店などは対象外です。
保険会社・代理店への質問メモ(空欄は「未確認」のまま残します)
| 質問 | 回答 | 確認した日と相手 |
|---|---|---|
| 私の契約で、保険の対象は建物・家財のどちらですか(両方ですか) | 未確認 | 未確認 |
| 動物による天井・断熱材・配線などの被害は、補償の対象になりますか | 未確認 | 未確認 |
| 対象にならない場合、約款のどの条項によりますか | 未確認 | 未確認 |
| ネズミ以外の動物、または種類が分からない場合は、どう扱われますか | 未確認 | 未確認 |
| 駆除・清掃・消毒・侵入口の工事の費用は、対象になりますか | 未確認 | 未確認 |
| 自己負担額(免責金額)の設定はありますか | 未確認 | 未確認 |
| 請求する場合に必要な書類は何ですか(写真・修理見積書など) | 未確認 | 未確認 |
| 修理や駆除を進める前に、残しておく記録や手順はありますか | 未確認 | 未確認 |
| 請求の期限はいつまでですか。いつから数えますか | 未確認 | 未確認 |
| 業者に「保険で直せる」と言われています。業者と契約する前に確認することはありますか | 未確認 | 未確認 |
確認リスト
- 業者と契約する前に、保険会社か代理店へ先に連絡する
- 見たことと推測を分け、分からないことは「不明」と伝える
- 補償されないと言われたら、理由と約款の条項を聞く
- 回答は、日付と相手の名前と一緒に書き残す
04「保険で直せる」という勧誘に注意する
ここで紹介する注意喚起は、台風や大雪などの自然災害を持ち出した住宅修理の勧誘についてのもので、害獣の被害を扱ったものではありません。日本損害保険協会は、住宅修理などに関し、「保険が使える」と言って勧誘する業者とのトラブルが増加しているとして注意を呼びかけています(2026年7月更新のページ)。保険会社や代理店へ連絡する前に、問題のある住宅修理業者や保険金請求代行業者と契約すると、保険金が支払われずに修理代金を自己負担することになったり、解約の際に高額な解約手数料を求められたりすることがあるとしています。
国民生活センターも2021年9月に、「保険金が使える」と勧誘する住宅修理サービスの相談が急増しているとして注意喚起を出しました。相談事例には、保険金の一定割合を手数料として支払う契約をした例や、解約を申し出たところ解約できないと言われた例があります。同センターは、見積もり通りに保険金が下りるとは限らないとして、安易に契約しないよう呼びかけています。
もう一つの助言が、うその理由で保険金を請求しないことです。同センターは、経年劣化による損傷と知りながら自然災害による損傷と申請するなど、うその理由で請求すると、保険金の返還請求や保険契約の解除をされたり、刑事罰(詐欺罪)に問われたりするおそれがあるとしています。被害の原因や時期は、分かっている事実のとおりに伝えてください。分からなければ「分からない」で構いません。
業者の説明より先に保険会社へ確認するという順番は、害獣の被害で「保険で直せます」と言われたときにも使えます。その場で契約を求められたら「その場で契約を迫られたら。保留の伝え方と断り方」を、すでに契約した方は「契約したあとで不安になったら。クーリング・オフと相談の順番」をご覧ください。不安なときは、消費者ホットライン188で最寄りの消費生活センター等を案内してもらえます。
確認リスト
- 「保険で直せる」と言われても、その場で契約しない
- 先に、契約している保険会社か代理店へ確認する
- 見積もりどおりに保険金が出るとは限らない
- 被害の原因や時期を、事実と違う内容で申請しない
- 困ったときは、消費生活センター等に相談する
05火災保険と害獣被害でよくある質問
配線や断熱材の被害、駆除の費用、申請の代行、時間がたった被害について答えます。
- ネズミにかじられた配線や断熱材は、火災保険の対象になりますか。
- 当サイトでは判断できません。今回確認した2社の公開約款には、保険金を支払わない場合の一つに「ねずみ食い、虫食い等」にあたる項目がありました。ただ、対象外とする範囲を限る注記があり、すべての契約に同じ記載があるとも限りません。ご自身の約款で「保険金を支払わない場合」の条項を開き、保険会社に確認してください。
- 駆除や清掃の費用は、保険で出ますか。
- 駆除、清掃、消毒、侵入口をふさぐ工事の費用が補償の対象になるかどうかは、公的な資料では確認できていません。保険会社に確認してください。見積の内訳の見方は「害獣駆除の見積を、同じ条件で比べる」に、費用が変わる要因は「害獣駆除の費用は何で変わるのか。見積の前に知っておきたいこと」にまとめています。
- 業者が「保険の申請は全部代行します」と言っています。任せてよいですか。
- 国民生活センターは、保険金の請求は加入者自身で行うことが基本で、申請サポート会社に頼る前に、契約の書類をよく読み、不明な点は保険会社や保険代理店に直接相談するよう助言しています。任せるかどうかを決める前に、まず保険会社へ確認してください。
- 被害に気づいてから時間がたっています。今からでも確認できますか。
- 保険会社への確認はできます。保険法第95条は、保険金などの保険給付を請求する権利は、行使できる時から3年間行使しないと時効によって消滅すると定めています。いつから数えるかは保険商品や保険金の種類などで異なると、日本損害保険協会の損害保険Q&Aは説明しています。ご自身の場合の扱いは、保険会社に確認してください。なお、国民生活センターは「請求期限が迫っている」などの勧誘をうのみにしないよう呼びかけています。期限を理由に急がされても、業者との契約をその場で決める必要はありません。
KEEP READING次に読みたいガイド
参考にした公的情報(一次資料)
- 日本損害保険協会「損害保険Q&A 損害保険の契約で使用される書類」
- 日本損害保険協会「損害保険Q&A 問50 火災保険は、どのような保険ですか。」
- 日本損害保険協会「損害保険Q&A 問51 どの種類の火災保険でも、補償される範囲は同じですか。」
- 日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブルにご注意」
- 国民生活センター「保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意!」
- 日本損害保険協会「損害保険に関する受付窓口一覧」
- 日本損害保険協会「損害保険Q&A 保険事故」
- 日本損害保険協会「損害保険Q&A 免責と免責金額とは?」
- 日本損害保険協会「相談対応、苦情・紛争の解決(そんぽADRセンター)」
- 消費者庁「消費者ホットライン(188)」
- 日本損害保険協会「損害保険Q&A 保険金請求の時効とは?」
- 法務省 日本法令外国語訳データベース「保険法」(平成29年法律第45号までの改正を反映した版)
確認日 2026-10-01。自治体の事業や制度は変わることがあるため、依頼や手続きの前に各ページの最新の内容をご確認ください。
