専有・共用の確認、管理組合への伝え方、手配と費用の確かめ方を連絡メモで整理。

自分で買って住んでいるマンションで、天井や壁の中から物音がする。ベランダにふんのようなものが落ちている。そんなとき、自分の部屋のことだから自分で業者を呼べばよいのか、管理会社や管理組合に言うべきなのか、費用は誰が持つのか、迷う点がいくつも出てきます。
この記事では、専有部分と共用部分の考え方、管理会社・管理組合への伝え方、誰が手配し費用をどう扱うかの確かめ方、自分の部屋でできる記録を順にまとめます。第2節に、そのまま使える連絡メモと文例を載せました。部屋を借りて住んでいる方は、先に「賃貸で気づいたら。まず連絡する前に」をご覧ください。
天井裏や壁の中、バルコニーが専有部分か共用部分か、費用を誰が負担するかは、マンションごとの管理規約と状況で決まるため、この記事では判断しません。法律と国土交通省のひな形は一般論として紹介しますが、ご自身のマンションの規約が同じとは限りません。動物の種類の見分け方や作業の手順も扱いません。
- 専有部分と共用部分を確認する
- 管理会社・管理組合に伝える
- 誰が手配し、費用をどう扱うかを確認する
- 自分の部屋でできる記録と確認
- 分譲マンションの害獣でよくある質問
01専有部分と共用部分を確認する
区分所有法は、マンションの各住戸のように一戸ずつ所有の対象になる建物の部分を「専有部分」、それ以外の建物の部分などを「共用部分」と定めています。廊下や階段室などは個別の所有の対象にならず、共用部分は原則として部屋の所有者(区分所有者)全員の共有です。管理や使用についての事項は、規約で定めることができます。
境目の決め方の例が、国土交通省の「マンション標準管理規約(単棟型)」(令和7年10月改正)です。このひな形は、住戸番号を付した住戸を専有部分とし、天井・床・壁は躯体部分(建物の骨組みに当たる部分)を除く部分を専有部分、窓枠と窓ガラスは専有部分に含まれないとしています。共用部分には、内外壁、住戸の間の壁(界壁)、床スラブ、パイプスペース、バルコニーなどを挙げ、バルコニーは、その住戸の所有者が専用で使える権利(専用使用権)を持つ形です。
ただし、これはひな形です。ご自身のマンションの規約が同じとは限らず、物音のする天井裏や壁の中がどちらに当たるかは、規約と建物の造りで変わります。ひな形のコメント(解説)も、この区分が費用の負担とそのまま結び付くわけではないとしています。管理規約と使用細則を手元に用意し、分からない点は「未確認」のまま管理会社・管理組合に尋ねてください。
確認リスト
- 管理規約と使用細則が手元にあるか
- 規約の「専有部分の範囲」「共用部分の範囲」と別表
- バルコニーや専用庭など、専用使用の定め
- 気づいた場所:室内/天井裏・壁の中/ベランダ/廊下など
02管理会社・管理組合に伝える
自分の部屋の中だけのことに思えても、早めに管理会社・管理組合へ伝えておくと進めやすくなります。区分所有法は、共用部分の管理を原則として所有者の集会の決議で決めるとし、ひな形は、敷地と共用部分等の管理は管理組合がその責任と負担で行い、業務を管理会社などに委託できるとしています。日ごろの窓口が管理会社ならそこへ、管理会社がなければ理事長や理事会へ伝えます。
東京都の「都民のためのねずみ防除読本」(令和7年12月発行)は、ネズミの例ですが、集合住宅では入居者全体での対応が必要で、分譲住宅では管理組合が主体となり、アンケートなどで建物全体の被害状況を調べると説明しています。あなたの部屋の情報は、建物全体で考える材料になります。
伝える内容は、下の連絡メモで足ります。見たことと音だけのことを分け、姿を見ていなければ種類は「不明」と書きます。ほかの住戸の様子は、自分で見たことと人から聞いた話を分けて書きます。
メールや書面なら、次のくらいの短さで十分です。「〇〇号室の〇〇です。〇月〇日ごろから、〇〇(部屋)の天井の上で〇〇(時間帯)に物音がします。動物の姿は見ていません(見た場合は日時と場所)。共用部分が関わるかは分かりません。ほかの住戸で同じような連絡がないか、調査や業者の手配をどなたが行うか、費用の扱い、業者の指定の有無、室内への立ち入りの要否を教えていただけますか。ご返事は〇〇(電話・メール)でいただけると助かります。」
管理組合への連絡メモ(連絡の前に上から書き出し、回答をもらったら右の欄に書き足します。分からない欄は「未確認」のまま残します)
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 部屋番号 | 未確認 |
| 気づいた日時と場所(部屋・天井か壁か・ベランダ) | 未確認 |
| 見たこと/音だけか(種類が分からなければ「不明」) | 未確認 |
| 共用部分が関わりそうか(分からなければ「未確認」) | 未確認 |
| ほかの住戸の状況を知っているか(聞いた話は「聞いた話」と書く) | 未確認 |
| 確認したいこと:調査や業者を手配する人(窓口の回答) | 未確認 |
| 確認したいこと:費用の扱い(窓口の回答) | 未確認 |
| 確認したいこと:業者の指定、事前の申請の要否(窓口の回答) | 未確認 |
| 確認したいこと:室内・ベランダへの立ち入りと立ち会い(窓口の回答) | 未確認 |
| 連絡した日時と相手(電話・メールの別) | 未確認 |
確認リスト
- 窓口は管理会社か、理事長・理事会か
- 見たことと推測を分け、種類を決めつけていないか
- 返事の方法と、返事の目安の時期を聞いたか
- 電話で伝えた場合も、日時・相手・内容を残したか
03誰が手配し、費用をどう扱うかを確認する
伝えたら、調査や業者を誰が手配するかを確認します。作業が共用部分に関わることがあるからです。区分所有法は、共用部分の「保存行為」(維持のための行為)は各共有者ができるとしつつ、規約で別の定めもできるとしています。ひな形は、部屋の所有者は、理事長に申請して承認を受けた場合などを除き、敷地や共用部分等の保存行為を行えないとし(部屋の使用に支障が出ていて、緊急を要する場合の例外があります)、これに反して行った場合の費用は、行った所有者が負担するとしています。
専有部分の工事でも、ひな形は、共用部分やほかの専有部分に影響を与えるおそれのある修繕などについて、あらかじめ理事長に申請し、承認を受けるよう求めています。管理を行う側が、必要な範囲で専有部分などへの立ち入りを請求できる定めもあります。害獣の調査や工事がこれらに当たるかは、ひな形には書かれていないため、事前の申請、依頼先の指定、立ち入りと立ち会いについて、作業の前に尋ねてください。
費用も一律には決まりません。区分所有法は、規約に別段の定めがない限り、各共有者が持分に応じて共用部分の負担を負うとしています。ひな形では、共用部分等の管理は管理組合の責任と負担が基本で、バルコニーなどの通常の使用に伴う保存行為(コメントの例は、清掃や割れた窓ガラスの入替え)は、専用使用権を持つ人が自分の責任と負担で行うとされています。ただ、害獣への対応についての定めはひな形に見当たらないため、どこまで管理組合で対応するかを、作業の前に確かめます。
管理会社・管理組合に確認し、自分の部屋の中の作業を自分で手配すると決まった方は、「害獣駆除の見積を、同じ条件で比べる」で見積の並べ方を確かめてください。そのうえで、当サイトの比較ページで、各社の案内対象の地域と動物を確認できます。確認がまだの方は、先に第2節の連絡メモで尋ねてください。すでに契約や請求で困っている場合は、新しい業者を探す前に、消費者ホットライン188で身近な消費生活センターなどを案内してもらえます。
確認リスト
- 調査と業者の手配は、管理組合(管理会社)か、自分か
- 管理組合で対応する範囲と、自分で頼む範囲
- 事前の申請や承認、業者の指定があるか
- 立ち入りの日程と、立ち会いの要否
- 決まったことを、メールなどで確認し返したか
04自分の部屋でできる記録と確認
返事を待つ間に自分の部屋でできるのは、記録を続けることです。気づいた日と時間帯、場所、続いている日数を連絡メモに書き足します。確かめるために天井の点検口からのぞいたり、ふんに触れたりする必要はありません。写真は無理に撮らず、離れた場所から撮れたものがあれば十分です。音は「屋根裏の物音。相談前に整理したいこと」、ふんは「ふんを見つけたとき。触る前に確認したいこと」にまとめています。
バルコニー(ベランダ)などについて、ひな形のコメントは、工作物の設置や外観の変更の禁止などは使用細則で物件ごとに定めるとしています。物を取り付ける前に、使用細則を確かめてください。また、環境省は、野生の鳥獣の捕獲は鳥獣保護管理法で原則として禁止され、許可を受けた場合などに認められると説明しています。種類が確かでないうちは自分で捕まえようとせず、コウモリらしき動物なら「コウモリを見かけたら。追い出す前に確認したいこと」を先にご覧ください。ネズミらしい場合は、法律上の扱いも含めて「ネズミを見た・言われたとき。調査前に整理すること」を先にご覧ください。
回答は連絡メモの右の欄に書き足し、理事会や総会で話し合うことになった場合は、その時期も聞いておきます。見積書や報告書、やり取りの記録は、一か所にまとめておくと経緯を説明しやすくなります。
確認リスト
- 日時・場所・見たこと(音だけか)を、気づくたびに書き足す
- 写真は、離れた場所から撮れたものだけ(近づいて確かめない)
- ベランダに物を付ける前に、使用細則を確認する
- 回答・見積書・報告書・やり取りを一か所にまとめる
05分譲マンションの害獣でよくある質問
業者を呼ぶ前の連絡、費用、自治体の事業、部屋を貸している場合について答えます。
- 自分の部屋のことなので、管理組合に伝えずに業者を呼んでもよいですか。
- 一律には答えられません。国のひな形は、共用部分等の保存行為や、共用部分に影響するおそれのある専有部分の修繕などについて、事前に理事長の承認を受ける形をとっています(保存行為には、部屋の使用に支障があり緊急を要する場合などの例外があります)。規約はマンションごとに違うので、先に管理会社・管理組合へ伝え、手配と費用の扱いを確認してください。
- 費用は、管理組合と自分のどちらが負担しますか。
- 一律には決まりません。法律は、共用部分の負担を、規約に別段の定めがない限り持分に応じて各所有者が負うとしていますが、害獣への対応の扱いは、国のひな形にも定めが見当たりません。作業の場所や規約によって変わりうるため、この記事では判断しません。作業の前に管理組合へ確認し、回答を記録に残してください。
- 自治体の捕獲の事業は、マンションでも使えますか。
- 自治体によって違います。ハクビシン・アライグマなどの捕獲事業の例では、足立区は、所有者または管理者が申請できるとし、マンション等では管理会社・管理組合を挙げています(2026年9月更新のページ)。世田谷区は集合住宅も対象とし、所有者または管理者による依頼を求めています(2026年8月更新のページ)。八王子市は集合住宅等を対象から除いています(令和8年度のチラシ)。お住まいの自治体のページで確認し、申請者が管理組合になる場合は管理組合に相談してください。条件の見方は「自治体の箱わな貸出を使う前に。申し込みと見回りの確認」にまとめています。
- 所有している部屋を人に貸している場合は、誰が連絡しますか。
- 区分所有法では、建物などの管理を行う団体を構成するのは、部屋の所有者(区分所有者)です。入居者から知らせを受けたら、所有者として伝えるのか、入居者から直接伝えてよいのかを、建物の管理会社か理事会に確かめてください。伝える内容は、この記事の連絡メモが使えます。入居している方の連絡の仕方は「賃貸で気づいたら。まず連絡する前に」にまとめています。
KEEP READING次に読みたいガイド
参考にした公的情報(一次資料)
- e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」
- 法務省「区分所有法等の一部を改正する法律 新旧対照条文」
- 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」
- 国土交通省「マンション管理」
- 東京都保健医療局「都民のためのねずみ防除読本」
- 消費者庁「消費者ホットライン(188)」
- 環境省「捕獲許可制度の概要」
- 足立区「ハクビシン・アライグマ対策事業」
- 世田谷区「ハクビシン・アライグマ対策」
- 八王子市「『箱わな』による有害獣捕獲事業(令和8年度)」
確認日 2026-10-01。自治体の事業や制度は変わることがあるため、依頼や手続きの前に各ページの最新の内容をご確認ください。
