隣の空き家に動物が出入りするとき、記録の仕方と空き家・害獣の窓口の違いを整理。

隣や近所の空き家に、動物が出入りしているように見える。自分の家の庭や屋根にも来ているようだ。けれど、空き家の持ち主は分からない。役所は対応してくれるのか、自分の家だけ対策しても意味があるのか、迷うことがいくつも出てきます。
この記事では、自分の敷地から見えた範囲の記録の仕方と、空き家の窓口と害獣の窓口が別の部署に分かれている例があることを整理します。そのうえで、所有者や管理者にしかできない手続き、自治体に伝える内容、自分の家の相談を分けて進める考え方をまとめます。
空き家に入って確かめる方法や、動物の種類の見分け方、捕獲や追い出しの手順は載せていません。自治体の案内はその自治体の例として紹介するので、お住まいの自治体のページで最新の内容を確認してください。
- 自分の敷地から見えた範囲を記録する
- 空き家の相談窓口を確認する
- 害獣の窓口には、所有者でないとできないことがある
- 自分の家の相談と分けて進める
- 空き家と害獣でよくある質問
01自分の敷地から見えた範囲を記録する
最初にすることは、空き家に入って確かめることではありません。自分の敷地や道路から、普段の生活の中で見えた範囲を書き留めます。空き家の敷地や建物には立ち入らないでください。動物を確かめるために近づく必要もありません。
書き留めるのは、空き家の場所、見えた様子、日時です。動物がどこから出入りしたか(屋根、軒下、庭など)と回数を、見えた範囲で書きます。「見たこと」と「推測」は分け、姿をはっきり見ていなければ、種類は「不明」のままにします。自分の家で気づいたこと(庭、屋根、物音、ふんのようなもの)は、空き家の欄と分けておきます。
写真は無理に撮りません。神戸市は、目撃や被害の通報の案内で、野生動物は危険なので写真撮影は行わないよう呼びかけています(2026年9月更新のページ)。自分の敷地や道路から、離れたまま撮れたものがあれば十分です。下の表に書き込み、分からない欄は「未確認」のまま残してください。
空き家と動物の相談メモ(空欄は「未確認」のまま残します)
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 空き家の場所(番地は窓口にだけ伝える) | 未確認 |
| 見えた様子と日時(どこから出入りしたか、回数) | 未確認 |
| 動物の種類(確かめていなければ「不明」) | 未確認 |
| 自分の家で気づいたこと(庭・屋根・物音・ふんのようなもの) | 未確認 |
| 写真(自分の敷地や道路から無理なく撮れたもの) | 未確認 |
| 空き家の相談窓口(部署名・相談した日)と回答 | 未確認 |
| 害獣の相談窓口(部署名・相談した日)と回答 | 未確認 |
確認リスト
- 空き家の場所:窓口に伝えられるように(番地は窓口にだけ)
- 見えた様子:どこから出入りしたか、日時と回数
- 自分の家で気づいたこと:庭・屋根・物音・ふんのようなもの
- 写真:自分の敷地や道路から無理なく撮れたものだけ
- 空き家の敷地や建物には立ち入らない
02空き家の相談窓口を確認する
空き家には、空家等対策の推進に関する特別措置法があります。国土交通省のガイドラインによると、所有者や管理者が適切な管理に第一の責任を負うことを前提に、市町村が対策の実施主体とされています。「特定空家等」は、倒壊などの著しい危険や衛生上の著しい害のおそれ、著しい景観の悪化などがあり、放置が不適切とされる空き家です。2023年12月施行の改正で、管理が行き届かず、このまま放置すればそうなるおそれのある空き家が「管理不全空家等」とされ、市町村長が所有者などに指導や勧告をできるようになりました。
同じガイドラインは、判断の参考となる状態の例として、管理不全空家等に「駆除等がなされておらず、常態的な動物等の棲みつきが敷地等に認められる状態」、特定空家等に「周辺への侵入等が認められる動物等の敷地等への棲みつき」を挙げています。ただし、当てはまるかどうかは、周辺への影響の程度なども踏まえて市町村が総合的に判断するとされています。動物の出入りを見たことが、そのまま指導や勧告につながるとは限りません。
窓口の部署や名前は、自治体によって違います。神戸市と大阪市は、各区役所に空き家の相談窓口を置いており、地域や防災などを担当する課が受けています(神戸市は2026年4月、大阪市は2026年7月更新のページ)。横浜市は空き家の相談先を内容ごとに分けており、ハチやネズミなどは区の担当課、ハクビシンやアライグマなどの野生鳥獣は市の別の部署へ問い合わせるよう案内しています(2026年8月更新のページ)。小平市は、ハクビシンとアライグマのページで、空き家での被害は別の課へ相談するよう案内しています(2026年5月更新のページ)。
空き家の窓口が動物の相談まで受けるとは限りません。最初の電話では、たとえばこう伝えます。「近所の空き家のことで相談です。〇月ごろから、動物が出入りするのを自宅の庭から見ています。持ち主は分かりません。動物のことは、どの部署に聞けばよいでしょうか」。横浜市は、相談のあと、現地調査、所有者の調査、文書による働きかけへ進むと案内しています。一方で、所有者の調査に1年以上かかることがあること、働きかけに強制力はないこと、指導の状況など所有者の個人情報に関わる内容は答えられないことも示しています。
確認リスト
- 空き家の相談窓口の部署名(自治体や区によって違う)
- 動物の相談は同じ窓口か、別の部署か
- 伝えること:空き家の場所、見えた様子と日時、自分の家で困っていること
- 聞くこと:相談後の流れと、結果の連絡があるか
03害獣の窓口には、所有者でないとできないことがある
害獣の窓口は、今回確認した自治体では、環境や農政の担当課、保健所などでした。そこでは、捕獲や箱わなの事業を、その場所の所有者や管理者からの申し込みに限る例が見られます。神戸市は、捕獲は自分が所有・管理する敷地内に限り、ほかの人の空き家や空き地は、その所有者・管理者から連絡するよう案内しています(2025年10月更新のFAQ)。足立区と板橋区は、所有者または管理者からの申請や依頼を条件にしています(足立区は2026年9月、板橋区は2026年6月更新のページ)。町田市は、申込者が所有しているか、所有者の承諾を得ていることが条件です(2026年4月更新のページ)。
空き家そのものを対象から外している例もあります。千葉県柏市は、アライグマのわなを設置できない場所に、空き家・空き地や、申請者とは別の人が所有する場所を挙げています(2026年9月更新のページ)。中野区は、対象の戸建て住宅から空き家を除いています(2025年5月更新のページ)。隣の空き家にわなを置いてほしいと近隣の人が頼んでも、受け付けられないことがあります。
野生の鳥獣の捕獲は鳥獣保護管理法で原則として禁止されており、捕獲には許可などの法律上の手続きが必要です。空き家の敷地に入る、物を置く、建物に手を加えるといったことは、しないでください。害獣の窓口には、「自分の敷地でできること」と「空き家の所有者側にしかできないこと」を分けて聞きます。事業の条件は「自治体の箱わな貸出を使う前に。申し込みと見回りの確認」、窓口の探し方は「お住まいの地域から、相談先を確認する」にまとめています。
確認リスト
- 捕獲や箱わなの事業に、誰が申し込めるか(所有者・管理者に限るか)
- 空き家や空き地が、事業の対象に入るか
- 自分の敷地なら対象になるか、その条件
- 空き家の敷地に入らない、物を置かない、建物に手を加えない
04自分の家の相談と分けて進める
空き家への働きかけには、時間がかかることがあります。横浜市も、適切な管理までに時間を要する場合が多いと案内しています。その間も、自分の家のことは自分で相談を進められます。空き家のことは空き家の窓口へ、自分の家のことは害獣の窓口や民間の相談先へ。この2本を分けて、並行して進めます。
気をつけたいのは、動物の出どころを空き家と決めつけないことです。板橋区は、ハクビシンについて、ねぐらは複数あり、転々と移動すると案内しています(2026年6月更新のページ)。屋根裏の物音は「屋根裏の物音。相談前に整理したいこと」、庭や菜園は「庭や家庭菜園が荒らされたら。記録と相談先の整理」を参考にしてください。
自分の敷地であれば、自治体の事業の対象になることがあります。神戸市は、アライグマとハクビシンについて、敷地内での捕獲を希望する場合に捕獲檻を貸し出すと案内しています(2026年9月更新のページ)。民間に相談するときは、隣に空き家があって動物の出入りを見たことを伝え、作業の範囲と、再び気づいたときの対応を確認します。
すでに契約や請求で困っている場合は、新しい業者を探す前に、消費者ホットライン188で身近な消費生活センターなどを案内してもらってください。賃貸で、管理会社や大家にまだ連絡していない場合は、先に「賃貸で気づいたら。まず連絡する前に」を確認してください。そのうえで民間も検討したい場合は、当サイトの比較ページで、各社の案内対象の地域と動物を確認できます。
確認リスト
- 空き家のことと自分の家のことを、別のメモ・別の窓口で進める
- 動物の出どころを決めつけず、見たことだけを伝える
- 自分の敷地が自治体の事業の対象になるか
- 民間には、隣に空き家があることを伝え、作業の範囲と再発時の対応を確認
05空き家と害獣でよくある質問
持ち主の調べ方、役所の対応、立ち入り、自分の家の対策について答えます。
- 空き家の持ち主が分かりません。自分で調べたほうがよいですか。
- 持ち主が分からないことも、そのまま空き家の窓口に伝えてください。国土交通省のガイドラインによると、市町村は法律の施行に必要な範囲で、固定資産税の情報なども所有者の把握に使えるとされています。自分で調べる方法として、横浜市と神戸市は、法務局で登記の情報を取得できると案内しています。法務局によると、土地・建物の登記事項証明書は窓口・郵送・オンラインで請求でき、手数料がかかります。ただ、横浜市は、登記が更新されていない場合や相続が複雑な場合があるとも説明しています。無理のない範囲で考え、迷うときは窓口に相談してください。
- 役所に相談すれば、空き家の動物を駆除してもらえますか。
- 自治体によって異なります。空き家の法律で市町村が行うのは、主に所有者などへの指導や勧告などで、対象になるかは市町村が判断します。害獣の事業も、今回確認した自治体では、所有者や管理者からの申し込みに限る例や、空き家を対象外とする例がありました。窓口では、行うこと、行わないこと、結果の連絡があるかを確認してください。
- 動物がいるか確かめるために、空き家の敷地に入ってもよいですか。
- 入らないでください。空き家であっても、ほかの人の土地と建物です。国土交通省のガイドラインでも、市町村が敷地に入って調べる方法として、所有者の承諾を得て立ち会ってもらう調査や、法律に基づく立入調査が示されています。相談に必要なのは、自分の敷地や道路から見えた範囲の記録です。えさやわなを置く、すき間をふさぐといったことも、空き家に対しては行わないでください。
- 自分の家だけ対策しても、意味がありますか。
- 効果を約束することはできません。ただ、自分の家で起きていることは、空き家の状況にかかわらず、自分の側で確かめて相談できます。空き家の窓口の結果を待たずに、並行して進めます。対策後の確認は「駆除のあとも見据えた、対策の確認」にまとめています。
KEEP READING次に読みたいガイド
参考にした公的情報(一次資料)
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」
- 国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律 概要」
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和五年法律第五十号)」
- 横浜市「近隣の空家でお困りの方」
- 神戸市「近隣の空き家・空き地に困っている」
- 大阪市「空家相談」
- 小平市「ハクビシンとアライグマについて」
- 神戸市FAQ「空き家・空き地にアライグマ・ハクビシンが住み着いて困っています。」
- 足立区「ハクビシン・アライグマ対策事業」
- 板橋区「ハクビシン(外来生物)の被害について」
- 町田市「アライグマ・ハクビシン防除事業」
- 柏市「アライグマにお困りの方」
- 中野区「ハクビシン・アライグマによる被害が続いたら」
- 神戸市「有害鳥獣被害対策」
- 法務局「各種証明書請求手続」
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律 新旧対照条文」
- 内閣府「第16次一括法などの施行」
- 環境省「捕獲許可制度の概要」
- 環境省「鳥獣保護管理法の概要」
- 消費者庁「消費者ホットライン(188)」
確認日 2026-10-01。自治体の事業や制度は変わることがあるため、依頼や手続きの前に各ページの最新の内容をご確認ください。
