見た場所の記録、特定外来生物の規制、自治体の防除事業、民間に頼む範囲を確認。

庭を横切る動物を見た。屋根の上を歩く影に気づいた。アライグマかもしれないと思っても、特定外来生物と聞いたことがあるだけで、自分で捕まえてよいのか、役所は何をしてくれるのかは、すぐには分からないものです。
この記事では、見た場所と状況をメモにまとめ、外来生物法の規制(飼う・保管する・運ぶ・放つことなどの原則禁止)と、捕獲に関わる法律上の手続きを整理します。そのうえで、自治体の防除事業の有無と条件、民間に頼む範囲と費用で確かめたいことをまとめます。
動物の種類を見分ける方法や、捕獲の手順は載せていません。自治体の案内は、その自治体の例として更新月を添えて紹介します。制度は自治体や年度によって変わるため、お住まいの自治体のページで最新の内容を確認してください。
- 見かけた場所と状況を整理する
- 特定外来生物としての扱いを確認する
- 自治体の防除事業と申し込みの条件
- 民間に頼む範囲と費用を確認する
- アライグマの相談でよくある質問
01見かけた場所と状況を整理する
最初にすることは、追いかけて確かめることではなく、離れた場所から見えた範囲を書き留めることです。大阪府堺市は、アライグマを見かけてもむやみに近づかず、追いかけたり捕まえようとしたりしないよう呼びかけています(2026年8月更新のページ)。神戸市も、近寄らないこと、えさやりをしないことを案内しています(2026年5月更新のページ)。
メモには、見た場所(庭、屋根の上、ベランダなど)、見たもの(姿、足跡やふんのようなもの、荒らされた跡)、気づいた日時と回数を書きます。姿をはっきり見ていなければ、種類は「不明」のままにします。神戸市は、目撃や被害の通報の案内で、野生動物は危険なので写真撮影は行わないよう呼びかけています(2026年9月更新のページ)。写真は無理に撮らず、離れた場所から撮れたものがあれば十分です。
あわせて、被害の有無を分けて書きます。「見かけただけ」なのか、「敷地にすみついている」「家屋や家庭菜園に被害がある」のかで、自治体の対応が変わることがあるためです。堺市は、市街地で見かけただけの場合は緊急の対応は必要ないと案内しています。屋根裏の音だけで姿を見ていない場合は、「屋根裏の物音。相談前に整理したいこと」を先に確認してください。
アライグマの相談メモ(空欄は「未確認」のまま残します)
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 見た場所(庭・屋根の上・ベランダなど) | 未確認 |
| 見たもの(姿/足跡やふんのようなもの/荒らされた跡) | 未確認 |
| 気づいた日・時間帯・回数 | 未確認 |
| 種類(確かめていなければ「不明」) | 未確認 |
| 被害の有無(見かけただけ/すみついている/家屋・菜園の被害) | 未確認 |
| 手元の記録(離れた場所から撮れた写真など) | 未確認 |
| 建物(戸建て・集合住宅、持ち家・賃貸) | 未確認 |
| 自治体に聞いたこと(防除事業の有無、対象と条件、申し込み先)とその回答 | 未確認 |
| 業者に聞いたこと(アライグマの相談を受け付けるか、捕獲を含むか、作業の範囲)とその回答 | 未確認 |
確認リスト
- 見た場所:庭・屋根の上・ベランダなど、敷地のどこか
- 見たもの:姿/足跡やふんのようなもの/荒らされた跡
- いつ:気づいた日・時間帯・回数
- 被害:見かけただけ/すみついている/家屋や菜園に被害がある
- 近づかない・追いかけない・えさを与えない
02特定外来生物としての扱いを確認する
アライグマは、外来生物法に基づく特定外来生物に指定されています。同法は、特定外来生物を飼うこと、保管すること、運ぶことを原則として禁じ、野外に放つことや譲り渡すことも原則として禁じています。環境省は、野外で捕まえた特定外来生物を持ち帰ることは「運搬」に当たり、禁止されていると説明しています。
捕まえること自体には、別の法律も関わります。鳥獣保護管理法は、野生の鳥類や哺乳類の捕獲・殺傷を、許可を受けた場合などを除いて禁じています。環境省の「アライグマ防除の手引き」(2025年3月改訂版)は、アライグマを捕獲する方法として、鳥獣保護管理法による許可捕獲と、外来生物法に基づく防除の2つを挙げています。
外来生物法の防除は、都道府県が内容を公示して行うほか、市町村は国の確認を、民間の事業者などは国の認定を受けて行う仕組みです。この手続きを経た防除は、鳥獣保護管理法の捕獲許可を受けずに実施できます。一方で環境省は、確認や認定を受けていない場合や、その防除の従事者でない場合は、鳥獣保護管理法の許可などが必要になることがあるとして、近くの行政機関への問い合わせを案内しています。
特定外来生物だからといって、誰でも自由に捕まえて運んでよいわけではありません。どの手続きが当てはまるかは地域の制度で変わるため、この記事では個別の判断はしません。捕まえる前に、次の節のとおり自治体の案内を確認してください。
確認リスト
- 飼う・保管する・運ぶ・放つ・譲り渡すことは原則禁止
- 捕まえた個体を持ち帰ることは「運搬」に当たる
- 捕獲には、許可などの法律上の手続きが必要
- 手続きの種類は地域の制度で変わるため、自治体に確認する
03自治体の防除事業と申し込みの条件
外来生物法は、定着した特定外来生物の被害防止のため、都道府県には必要な措置を講じることを、市町村には同じ措置に努めることを求めています。環境省の手引きは、防除を行う市町村の体制として、住民へのわなの貸出、市町村職員による捕獲、業者への委託など、さまざまな形があると紹介しています。
今回確認した自治体でも、対応は分かれていました。神戸市は、自分の敷地での捕獲を希望する場合に捕獲檻を貸し出すと案内しています。京都市は外来生物法に基づいて捕獲しており、檻を置く場所の提供や餌の付け替えへの協力を求めています(京都市野生鳥獣被害対策会議のQ&A集、2026年4月改訂版)。堺市は、被害の相談に応じて、必要なときに捕獲器を貸し出すとしています。千葉県船橋市は、委託業者がわなの設置・撤去と捕獲した個体の回収を行いますが、設置は庭などの敷地内に限り、屋根裏への侵入の対応や追い払いは行わないとしています(2026年8月更新のページ)。
条件や受付の状況も確かめます。名古屋市は、捕獲箱を借りるには、捕獲許可の申請と貸出しの申請の2つが必要だと案内しています(2026年5月更新のページ)。船橋市は、申請時に被害状況などの写真の添付を求め、2026年度は新規の設置を優先しているとしています。横浜市は、住居内に侵入する被害に限ったはこわなの設置事業について、予算の上限に達したため今年度は終了したと案内しています(2026年9月更新のページ)。
対象になる被害、設置できる場所、見回りや餌の負担、受付の状況は自治体ごとに違います。お住まいの自治体のページで確認してください。窓口の探し方は「お住まいの地域から、相談先を確認する」に、箱わなの貸出の条件は「自治体の箱わな貸出を使う前に。申し込みと見回りの確認」にまとめています。
確認リスト
- 防除事業があるか(貸出・設置・回収のどこまでか)
- 対象になる被害と場所(屋外だけか、屋内への侵入も含むか)
- 申し込める人の条件と、必要な申請・写真
- 見回りや餌など、申し込む側が担うこと
- 今年度の受付状況
04民間に頼む範囲と費用を確認する
自治体の事業が扱わない部分は、自分で無理に対応せず、民間に頼むかどうかを検討します。京都市のQ&A集は、檻は原則として屋外に設置するため、天井裏などに入り込んでいる場合の追い出しは各自で対応するよう案内しています。船橋市は、屋根裏への侵入や消毒・清掃については有料の業者の紹介先を示し、費用は市では把握していないため、業者に直接見積を取るよう案内しています。
民間の窓口に問い合わせるときは、アライグマの相談を受け付けているか、調査・捕獲・追い出し・侵入口の対策・清掃のどこまでを扱うかを最初に確認します。対象の動物や地域は会社ごとに違います。見積に捕獲が含まれる場合は、どの法律上の手続きで行うのか、誰が申請するのか、捕獲した個体を誰がどう扱うのかも聞いておきます。金額の目安は、この記事では示しません。
国民生活センターは2024年4月の注意喚起で、害虫・害獣駆除サービスの相談が増加傾向にあるとして、複数の見積もりを取って比較・検討する時間を与えない事業者とは契約しないよう呼びかけています。見積の並べ方は「害獣駆除の見積を、同じ条件で比べる」にまとめています。
すでに契約や請求で困っている場合は、新しい業者を探す前に、消費者ホットライン188で最寄りの消費生活センター等を案内してもらってください。賃貸で管理会社や大家にまだ連絡していない場合は、先に「賃貸で気づいたら。まず連絡する前に」を確認してください。そのうえで民間への相談も検討する場合は、当サイトの比較ページで、各社の案内対象の地域と動物を確認できます。
確認リスト
- アライグマの相談を受け付けているか
- 調査・捕獲・追い出し・侵入口の対策・清掃のどれが含まれるか
- 捕獲を含むなら、法律上の手続きと申請する人、個体の扱い
- 自治体の事業と重なる部分、重ならない部分
- 費用は複数の見積を取り、同じ条件で比べる
05アライグマの相談でよくある質問
捕まえてよいか、役所の対応、えさや接触の注意、種類が分からない場合について答えます。
- 敷地に来るアライグマを、自分で捕まえてもよいですか。
- 捕獲には、許可などの法律上の手続きが必要です。鳥獣保護管理法は、野生の哺乳類の捕獲を、許可を受けた場合などを除いて禁じています。外来生物法の手続きを経た防除は捕獲許可を受けずに実施できますが、その防除の従事者でない場合は、許可などが必要になることがあります。捕まえた個体を持ち帰ることも「運搬」に当たり、原則禁止です。横浜市は、アライグマは被害がなくても捕獲の申請ができるとしたうえで、事前の届出が必要と案内しています。手続きは地域で違うため、お住まいの自治体に確認してください。
- 役所に連絡すれば、捕獲してもらえますか。
- 自治体によって異なります。今回確認した自治体では、檻やわなの貸出し、委託業者による設置と回収、屋内への侵入に限った設置事業など、形が分かれていました。年度の途中で受付を終えた事業もあります。お住まいの自治体のページで、事業の有無、対象になる被害、申し込みの条件の3点を確認してください。
- えさをあげたり、触ったりしても大丈夫ですか。
- えさは与えないでください。神戸市は、えさやりをするとアライグマの人慣れが進み、被害が拡大するとしています。堺市は、野生動物やそのふん、巣などにむやみに触れず、清掃などの後は手洗いを徹底するよう呼びかけています。厚生労働省の動物由来感染症ハンドブックも、野生動物一般について安易に触らないよう案内しています。ふんについては「ふんを見つけたとき。触る前に確認したいこと」も参考にしてください。
- アライグマかどうか分からない場合は、どうすればよいですか。
- 種類は「不明」のまま相談して構いません。見分けるために近づく必要はありません。船橋市は、何の動物か判別がつかない場合に写真を送って相談できると案内しています(判別がつかないこともあるとしています)。同市の事業はアライグマとハクビシンが対象で、ほかの動物がわなにかかった場合は放すとしています。動物によって扱いが変わるため、推測で決めず、メモのとおり伝えてください。似た相談は「ハクビシンを見かけたら。相談前に確認したいこと」にもまとめています。
KEEP READING次に読みたいガイド
参考にした公的情報(一次資料)
- e-Gov法令検索「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」
- 環境省「何が禁止されているの?」
- 環境省「防除に関するQ&A」
- 環境省「アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除)」
- 環境省「どんな法律なの?」
- e-Gov法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」
- 環境省「捕獲許可制度の概要」
- 環境省「鳥獣保護管理法の概要」
- 堺市「特定外来生物「アライグマ」について」
- 神戸市「アライグマ被害対策」
- 厚生労働省「動物由来感染症ハンドブック2026」
- 京都市 文化市民局地域自治推進室(京都市野生鳥獣被害対策会議)「野生鳥獣・虫等に関する相談Q&A集(改訂版)」
- 船橋市「アライグマ・ハクビシンの捕獲用ワナの貸し出しについて(外来種対策)」
- 名古屋市「アライグマ、ハクビシン、ヌートリア用の捕獲箱の貸出し」
- 横浜市「野生動物による生活被害について」
- 国民生活センター「ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意」
- 消費者庁「消費者ホットライン(188)」
- 神戸市「有害鳥獣被害対策」
確認日 2026-10-01。自治体の事業や制度は変わることがあるため、依頼や手続きの前に各ページの最新の内容をご確認ください。
