被害の記録と、自治体が屋外の被害をどこまで扱うか、家の中の異変との分け方を整理。

朝、庭に出たら、家庭菜園のトマトがかじられていた。実りかけの柿が食べられている。花壇が掘り返され、池の魚が減っている。何の動物なのか分からず、役所に言えばよいのか、業者に頼むことなのか、迷うところです。
この記事では、住宅地の戸建てで庭や家庭菜園が荒らされたときの、被害の記録の仕方、動物を決めつけないほうがよい理由、自治体が屋外の被害をどこまで扱うか、家の中への侵入と分けた相談先の決め方を、順に整理します。
食べ跡や足跡から動物を見分ける方法と、柵・ネット・忌避剤などの設置手順は載せていません。自治体の案内はその自治体の例として紹介するので、お住まいの自治体のページで最新の内容を確認してください。田畑など農地での被害は、窓口が別になることがあります。
- 被害の様子を記録する
- 荒らした動物を決めつけない
- 自治体に相談できる範囲を確認する
- 家の中への侵入と分けて考える
- 庭の被害でよくある質問
01被害の様子を記録する
最初にすることは、荒らした動物を突き止めることではなく、被害の様子を書き留めることです。気づいた日、庭のどこか、何が荒らされたか、続いているかを下のメモに書きます。姿を見ていなければ、動物の欄は「不明」でかまいません。
写真が撮れる場合は、荒らされた跡を片付ける前に、離れた場所から撮っておきます。東京都町田市は、果実やコイ・メダカなどが食べられる被害は現地調査までに痕跡が消えてしまう可能性があるとして、可能な場合は写真を撮り、調査の際に見せるよう案内しています(2026年4月更新のページ)。千葉県船橋市は、わなの貸し出しの申請に、動物本体・ふん・足跡・被害状況などのいずれかの写真の添付を求めています(2026年8月更新のページ)。
ただし、動物の姿を撮ろうと近づいたり、夜に待ち構えたりする必要はありません。神戸市は、野生動物の通報の案内で、野生動物は危険なので写真撮影は行わないよう呼びかけています(2026年9月更新のページ)。無理に撮らず、荒らされた跡など、離れた場所から撮れたものがあれば十分です。
家の中に変わったこと(天井の物音、しみ、におい)がないかも一言書いておきます。あとで相談先を分けるときに使います。ふんのようなものを見つけた場合は触らず、「ふんを見つけたとき。触る前に確認したいこと」を参考にしてください。
庭の被害の記録メモ(空欄は「未確認」のまま残します)
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 被害に気づいた日 | 未確認 |
| 場所(庭のどのあたりか) | 未確認 |
| 荒らされたもの(果樹・野菜・花壇・池の魚など) | 未確認 |
| 繰り返しの有無(1回だけ/何回目か) | 未確認 |
| 見た動物(見ていなければ「不明」) | 未確認 |
| 写真(荒らされた跡を、離れた場所から撮ったもの) | 未確認 |
| 家の中の異変の有無(天井の物音・しみ・におい) | 未確認 |
| 相談した窓口と日付、聞いたことと回答 | 未確認 |
確認リスト
- 気づいた日と、庭のどこで起きたか
- 荒らされたもの:果樹・野菜・花壇・池の魚など
- 繰り返しているか:1回だけか、何回目か
- 写真:撮れる場合は、荒らされた跡を片付ける前に離れた場所から
- 家の中の異変:天井の物音・しみ・においの有無
02荒らした動物を決めつけない
庭が荒らされると、動物の見当をつけたくなります。けれども、食べ跡や掘り返した跡だけで種類を決める必要はありません。
決めつけないほうがよいのは、動物の種類によって、使える制度や相談先が変わることがあるからです。東京都板橋区は、アライグマ・ハクビシンの被害対策事業について、それ以外の動物は対象外としています(2026年6月更新のページ)。船橋市は、市内には在来種のタヌキやアナグマも生息しているとし、対象外の動物がわなにかかった場合はその場で放すと案内しています。
種類の確認を手伝う窓口もあります。船橋市は、何の動物か判別がつかない場合に写真を送って相談できるとしたうえで、判別がつかないこともあると断っています。相談では「見たこと」と「推測」を分け、姿を見ていなければ「動物は分かりません」と伝えてください。
捕まえて確かめようとするのも避けてください。野生の鳥獣(鳥類と哺乳類)の捕獲は鳥獣保護管理法で原則として禁止されており、捕獲には許可などの法律上の手続きが必要です。大阪府堺市も、アライグマを見かけてもむやみに近づかず、追いかけたり捕まえようとしたりしないよう呼びかけています(2026年8月更新のページ)。姿を見て見当がついている場合は、「ハクビシンを見かけたら。相談前に確認したいこと」「アライグマを見かけたら。捕まえる前に確認したいこと」「タヌキやアナグマかもしれないとき。相談前に確認したいこと」も参考にしてください。
確認リスト
- 姿を見ていなければ、動物の欄は「不明」と書く
- 種類によって、使える制度や相談先が変わることがある
- 見たことと推測を分けて伝える
- 確かめるために近づかない、捕まえようとしない
03自治体に相談できる範囲を確認する
庭や家庭菜園の被害をどこまで扱うかは、自治体ごとに違います。横浜市は、アライグマ・ハクビシンが住居内に侵入する被害に限って、専門業者がわなを設置する事業を設けています。庭で飼っている金魚やコイが食べられた、家庭菜園の野菜が食べられた、庭に現れるといった場合は対象外です(2026年9月更新のページ。2026年度の事業は予算の上限に達して終了したと掲載されています)。
一方、板橋区は、アライグマ・ハクビシンによる敷地内の果樹や家庭菜園の食害を、区の事業の対象に含めています。東京都足立区は、庭木の果実や魚などへの被害、敷地内を繰り返し歩き回ることも、ハクビシン・アライグマによる生活環境被害に含めています(2026年9月更新のページ)。町田市も、庭の果実やコイ・メダカなどが食べられる被害を、相談の対象に挙げています。
窓口が分かれている自治体もあります。堺市は、アライグマによる家庭菜園や果実の被害、屋外で飼っていた魚の被害などを生活環境被害の例に挙げたうえで、「生活環境被害」と「農作物被害」では相談窓口が異なると案内しています。船橋市も、農地での被害は別の担当部署を案内しています。田畑などの農地での被害は、農業の窓口になることがあります。どちらに当たるか迷うときは、最初の電話で確かめてください。
環境面の注意を呼びかける自治体もあります。板橋区は、ハクビシンを寄りつかせないために、生ごみ、ペットフード、果実などを屋外に放置しないよう呼びかけています。堺市は、アライグマにえさを与えないこと、取り残した野菜や果実を放置しないことを挙げています。窓口の探し方は「お住まいの地域から、相談先を確認する」に、わなの貸し出しの条件は「自治体の箱わな貸出を使う前に。申し込みと見回りの確認」にまとめています。
確認リスト
- 対象の動物:アライグマ・ハクビシンに限るか
- 対象になる被害:屋外の食害を含むか、家の中への侵入に限るか
- 目撃だけ、実害なしでも対象になるか
- 生活環境の被害と農作物の被害で、窓口が分かれているか
- 今年度の受付状況
04家の中への侵入と分けて考える
相談先を決めるときは、庭だけの被害か、家の中にも異変があるかを分けて考えます。記録メモの「家の中の異変」の欄を使います。
自治体の事業は、屋外と屋内で扱いが分かれることがあります。横浜市は、天井裏から動物が歩き回る音がする、天井に染みができたといった住居内の被害を、事業の相談の例に挙げています。船橋市は逆に、わなの設置は庭などの敷地内に限り、屋根裏への侵入への対応や追い払いは行わないとしています。足立区は、屋外のほか屋根裏・天井裏・床下にも捕獲器を設置できるとしています(住宅の構造によっては設置できない場合があります)。
庭だけの被害で、家の中に変わったことがなければ、まず自治体のページで対象になるかを確認し、記録を続けます。天井の物音やしみ、においにも気づいている場合は、庭の被害とあわせて伝えてください。整理の仕方は「屋根裏の物音。相談前に整理したいこと」「天井のしみ・においに気づいたら。相談前に整理すること」にまとめています。
自治体の事業の対象外だった場合や、家の中の調査や侵入口の対策も頼みたい場合は、民間の窓口も選択肢になります。町田市は、民間業者による駆除は自費になると案内しています。庭だけの被害を受け付けるか、どの動物が対象かは、会社ごとに確認が必要です。すでに契約や請求で困っている場合は、新しい業者を探す前に、消費者ホットライン188で最寄りの消費生活センター等を案内してもらってください。借家で、大家や管理会社にまだ連絡していない場合は、先に「賃貸で気づいたら。まず連絡する前に」を確認してください。そのうえで民間にも相談する場合は、当サイトの比較ページで、各社の案内対象の地域と動物を確認できます。
確認リスト
- 庭だけの被害か、家の中にも異変があるか
- 自治体の事業が、屋外と屋内のどちらを対象にしているか
- 家の中の異変は、庭の被害とあわせて伝える
- 民間に頼むなら、庭だけの相談を受け付けるか、対象の動物と作業の範囲
05庭の被害でよくある質問
自治体の対応、動物が分からないときの相談、わなの扱い、一度だけの被害について答えます。
- 市役所や区役所に連絡すれば、庭の被害に対応してもらえますか。
- 自治体によって異なります。この記事で確認した範囲でも、屋外の被害を事業の対象外とする市、敷地内の果樹や家庭菜園の食害を対象に含める区、被害の種類で窓口が分かれる市がありました。お住まいの自治体のページで、「対象の動物」「対象になる被害」「相談窓口」の3点を確認してください。電話では「庭の家庭菜園が動物に荒らされました。姿は見ておらず、種類は分かりません。相談できる窓口と、対象になる被害を教えてください」のように伝えます。
- 何の動物か分からないまま相談してもよいですか。
- かまいません。分からないことは、そのまま伝えてください。船橋市は、判別がつかない場合に写真での相談を受け付けたうえで、判別がつかないこともあるとしています。受け付け方は自治体ごとに違うため、お住まいの自治体の窓口で確認してください。
- 自分でわなを置いて捕まえてもよいですか。
- 野生の鳥獣の捕獲は鳥獣保護管理法で原則として禁止されており、捕獲には許可などの法律上の手続きが必要です。許可の窓口や基準は、都道府県や市区町村によって違います。自治体がわなを貸し出したり設置したりする事業でも、申し込める人や毎日の見回りなどの条件が付くことがあります。確かめ方は「自治体の箱わな貸出を使う前に。申し込みと見回りの確認」にまとめています。
- 一度荒らされただけでも、相談してよいですか。
- 相談そのものは、してかまいません。ただ、事業の対象になるかは別です。板橋区は目撃のみで実害がない場合を、町田市は具体的な被害がない場合を事業の対象外としており、どちらも被害があるかどうかを条件に挙げています。一度の被害で対象になるかは、お住まいの自治体の窓口で確かめてください。繰り返すようなら、日付と、撮れていれば写真もそろえて伝えます。
KEEP READING次に読みたいガイド
参考にした公的情報(一次資料)
- 町田市「アライグマ・ハクビシン防除事業」
- 船橋市「アライグマ・ハクビシンの捕獲用ワナの貸し出しについて(外来種対策)」
- 神戸市「有害鳥獣被害対策」
- 板橋区「ハクビシン(外来生物)の被害について」
- 環境省「捕獲許可制度の概要」
- 環境省「鳥獣保護管理法の概要」
- 堺市「特定外来生物「アライグマ」について」
- 横浜市「野生動物による生活被害について」
- 足立区「ハクビシン・アライグマ対策事業」
- 消費者庁「消費者ホットライン(188)」
確認日 2026-10-01。自治体の事業や制度は変わることがあるため、依頼や手続きの前に各ページの最新の内容をご確認ください。
